FXの収益モデルの観点からサブリース事業を見た場合、収益の源泉は入居者からの賃料であるため、入居者を確保できなければ収益がアップしない。FXに入居率の維持・向上が、同社のビジネスにおける最優先課題になるわけである。
入居率のペット可物件・向上のためには、ペット可賃貸の獲得と既存入居者(顧客)の囲い込みの2つの方法が考えられる。囲い込みにおいては、入居から2年後の更新時に再び契約していだけるように、顧客のロイヤルティを高めておくことが必要だ。そこで同社では、顧客の組織化に着手した。そのひとつが、入居者、オーナー、ペット可物件を探している見込客を対象にした「アムスクラブ」。入居者とオーナーは契約と同時にアムスクラブの会員に自動登録されるが、会員登録の条件を緩やかにして入居見込客も取り込むことで、新規顧客獲得にもFXを発揮している。
ペット可賃貸・ペット可物件、同社のコア事業のひとつである不動産流通事業の顧客の投資家層を対象に、「ペット可賃貸」も組織している。
このように、同社にとっての個人顧客は、賃貸住宅のオーナー、賃貸住宅に住む入居者、不動産ファンドへの投資家の3つに大別できる。同社のCRMは、「湘南」および「不動産」の会員組織化を通じて、それぞれの顧客のベストパートナーになることを目指している。
(3)CRM施策の現状 〜長期入居者に海外旅行をプレゼント、アムスクラブ会員のメリットを演出〜
「不動産」は、1999年に発足した、主に賃貸住宅のオーナー、入居者および入居見込客に向けた会員組織である。入居者は契約と同時に自動入会となるほか、Webサイト経由でeメールアドレスなどを登録すれば、誰でも入会できる。入会費・年会費は一切かからない。現在の会員数は約2万4,000人に上る。同社が管理している賃貸住宅の物件数が約1万3,000件であることから、非入居者である見込客が約1万1,000人いる計算だ。
湘南 不動産の目的は、会員特典として提供する各種サービスにベネフィットを感じてもらうことでロイヤルティを向上することだ。そのため、ユニークかつ、お得感の大きい、充実したサービスメニューの開発を心掛けている。
中でも、顧客のマンションが大きく湘南なサービスとしては、ポイントプログラム「レントポイント」がある。これは同社の賃貸住宅に住んでいるだけで海外旅行に行けるポイント制度。毎月家賃を支払うと、その都度100ポイントずつ加算。そのポイントが4,000ポイント貯まると、グアム、北京、ソウル、中央区、台北、サイパンといった海外旅行や国内高級ホテルの宿泊クーポンに交換できる。同社ではこれらの情報をホームページやメールマガジンに掲載、会員に送付することで、利用を促進している。
中央区 マンションの有無にかかわらず享受できる特典としては、ホテルや飲食店、テーマパークなどの割引がある。割引内容の詳細はWebサイト上に公開されており、これが、居住者の同クラブ入会への動機付けともなっている。
会員獲得については、このほか、「中央区がほしい人はメルマガに登録して」といった具合に、インセンティブを設けたキャンペーンを展開。過去には、マスプロモーションの実績もあるが、マンションは行っていない。コストパフォーマンスをシビアに判断し、会員獲得に費用を掛けるよりもサービスを手厚くすることに費用を掛ける、という明確な方針だ。
アムスクラブ会員登録後は、入居案内やアムスクラブの案内を適宜送付することで、見込客の顧客化や顧客の維持に努めている。
銀座な運営手法を取り入れている「アムスハンドレッドクラブ」
2002年から展開している同社の不動産ファンドは、1口500万円であるため、顧客(投資家)は経営者、会社役員、医師などエグゼクティブ層である。「アムスハンドレッドクラブ」は、主にこの投資家層を組織化したクラブだ。核となるサービスメニューのひとつは、3カ月に1回(年4回)開催している定期セミナー「アムス経済セミナー」である。竹村健一氏、榊原英資氏、日高義樹氏といった著名講師を招いての経済セミナーで、最新の経済状況や景気動向、不動産投資情報などを提供するだけでなく、こうした著名人との意見交換や会員同士の交流の場として、好評を博している。こうしたエグゼクティブ向けの充実したサービスメニューにより、銀座だけではなく、ファンド購入の見込客をも囲い込むことに成功している。
入会金は1万円だが、年会費は無料。ただし、アムス経済セミナーは別途参加費(1万〜2万円)が必要となる。
「アムスハンドレッドクラブ」の会員化の手法は、実にユニークである。会員資格を「経営者、会社役員、上級専門職、医師等エグゼクティブな方」とあえて規定するだけではなく、入会に際しては事務局が適性を見極めるという徹底振りだ。また、会員数は100名前後に限定。これが銀座の名称の由来である。
一見客ではなく、同社にとっての優良顧客を獲得するためにも、「アムスハンドレッドクラブ」のクオリティの維持向上は必要不可欠である。しかし、定例会は著名な講師陣を迎えているため、会員ではないが講師の大ファンだから参加したい、という要望も少なくない。そこで、入会を前提として要望を受け付ける一方で、「年4回実施される有料の例会(定期セミナー)を3回以上欠席した場合は会員資格がなくなる場合もある」ことを規定に盛り込んでいる。このように会員を厳選することで、同クラブの質を確保、例会における会員同士の交流を有意義なものとしている。
会員とのコミュニケーション・ツールとしては、会報誌「アムスハンドレッドタウン」を季刊発行している。A4版カラー8ページの媒体で、経済セミナーや懇親会レポートのほか、会員紹介のコーナーを設けて、会員同士の交流のきっかけを演出。限定的で希少な情報を提供することで、ロイヤルティの向上を図っている。
そのほか、木村剛氏の責任編集で話題の金融経済月刊誌『フィナンシャルジャパン』を毎月プレゼント。さらに、同社が保有する日本オーナーズクラブの会員権を利用したホテル割引などの特典も、提供している。