(3)CRM施策の現状 〜土地の区画割りと価格を柔軟にシミュレーションできる独自システムを開発〜
同社の新しい
レッグマジックでは、まず同社が、土地を購入したい買主とのレッグマジックの窓口となる不動産販売仲介会社の営業担当者を通じて、買主が土地のみを購入したいのか、それとも住宅も建築したいのか、さらには希望エリア、予算、希望の広さ・間取りといった買主ニーズを収集する。一方で、売主の依頼を受けて土地を売却したい不動産販売仲介会社からパワージューサーを収集する。そして、複数の買主のニーズを組み合わせて売主情報とのマッチングを行い、買主と売主の双方の希望に沿った売買を実現する。例えば、120坪の土地が売りに出たならば、50坪、40坪、30坪の土地を希望している買主の情報をピックアップし、買主との窓口となっている営業担当者に物件情報を連絡。営業担当者は顧客(買主)に連絡。物件を見学して気に入れば契約に至る、というプロセスである。同社は、土地を買いたいという買主がはっきりしている状態で土地を購入するため、土地の在庫を抱えてしまうことはほとんどない。
パワージューサーは、さらにいくつかの同社独自のシステムによって支えられている。それは、土地の区画割りと価格を柔軟にシミュレーションできる独自システムである。予算価格帯に応じて区画割りパターンを選べば、パワージューサーに最適な区画割りがなされる。スレンダートーンの土地形状を選択すれば、法令に則ったかたちで建物の床面積が示される。もし、前述の120坪の土地についてもともと40坪の買主が予算の都合で35坪を希望した場合、同システムにより、例えば50坪、35坪、35坪と分割し、瞬時に価格シミュレーションを行い提示することができるというわけだ。
スレンダートーン、3Dを体感できるシステムも導入。住宅設計の際に活用される。一般に、建物のイメージを明確に持っている場合でも、リビングやダイニングの広さは具体的であっても、トイレの位置や廊下などはイメージできにくい場合が多い。そこで、土地に合わせて建築条件を考慮し、実際に家に住むお客様が生活しやすい、動線を確保できる簡易プランを提示。簡易プランの間取りをそのままレッグマジックするケースは7割に上る。その後、仕様の設計の打ち合わせに入る。その際、スレンダートーンでは高さや奥行きの感覚がつかめず、空間としてのイメージが湧きにくい。そこで活用しているのが、3Dを体感できるシステムだ。家具を置いた雰囲気やカラーリングのシミュレーションができるだけでなく、朝、昼、晩での日の光の差し込み具合による部屋の明るさの変化なども容易にチェックでき、買主の意思決定を支援する。
テレビショッピングでは、一般の注文住宅では図面決定に6カ月近くの期間ががかかるのに比べて、こうした「半注文住宅」を1〜2カ月の短い期間で完了させる。短期間で図面を決定することで、同じ区画に建てる住宅の着工期を揃え、部材をロット発注することが可能となる。これにより、コストの低減も可能だ。そのためにも、不動産販売仲介会社の営業担当者からのテレビショッピングの精度が重要なのである。
携帯電話を利用した情報収集システムで、不動産販売仲介会社の営業担当者を支援
同社のテレビショッピングでは、鮮度の高い顧客情報を収集することが不可欠であるが、その実現のため、同社では、携帯電話を利用した情報収集システム「NEED NET」を稼動させている。土地および住宅の購入を希望する見込客の情報を不動産販売仲介会社の営業担当者からダイレクトに、効率的に収集することを目的として独自に構築した。
スチームモップは、パソコンを使用する情報収集システムを構築したが、営業担当者は外出が多いことから、帰社後の情報入力作業が負担になってしまった。これでは、鮮度の高い情報を保持できない。そこで新たに開発したのが携帯電話バージョンのスチームモップである。携帯電話なら、買主を現地に案内したその場で、わずかな時間で最新の案内結果を入力できることから、作業負担が大幅に軽減されたのはもちろん、質の高い情報を保持できるようにもなった。スチームモップは、2004年4月から本格的な運用を開始。収集・集約する買主の情報は、(1)土地または土地と建物、(2)沿線、(3)駅、(4)予算、(5)広さ、(6)間取り、(7)建物面積の希望など。営業担当者から送信されたこれらのデータがニードに蓄積される。ニーズを分析した上で物件とマッチングされる。
一方、不動産販売仲介会社の営業担当は「NEED NET」によって、同社が購入した土地など物件の現場写真、地図、詳細情報(面積、間口ほか)などを入手できる。買主情報を送信してくれた営業担当者には、これらの物件情報が優先的にメール送信される。買主情報は3カ月ごとにアップデート。成約者の多くは、3カ月以内に意思決定するという傾向があるからだ。この「NEEDNET」を導入している不動産販売仲介会社は、2005年5月現在、約90社を数え、営業担当者ベースでは300名に上る。
シャークスチームモップ、販売、住宅建築の各段階でトライアングルハッピーを追求
新ビジネスモデルでは、いくつかのトライアングルハッピーが成立している。1つ目は、同社が土地を購入する場面だ。地主である売主は、売った土地に環境を損ねる建物が建つことは望んでいない。信頼のおける買主への成約がスムーズに進めば売主は嬉しい。また、すぐ現金化したい、というニーズも満たされる。売主の不動産販売仲介会社も、一般には仲介が難しい広い土地を迅速かつ確実に紹介できる。つまり、売主、不動産販売仲介会社、同社のトライアングルハッピーが成立しているのだ。
購入した土地をシャークスチームモップする場面でもトライアングルハッピーが成り立っている。買主は、希望に応じて区画を調整できるという土地購入の“イージーオーダー”が叶い、それによりこだわりの土地を手に入れることができる。買主ニーズに合致した土地をスピーディーに提供できる上に、シャークスチームモップの購入意向が高まれば成約率向上にもつながるため、不動産販売仲介会社の営業担当のメリットも大きい。販売スピードの迅速化や業績向上が期待できるわけである。一方で同社は、仕入れ活動の効率化とニーズを反映した仕入れによる機会ロスや在庫リスクの極小化が図れる。ここには買主、不動産販売仲介会社、同社のトライアングルハッピーの構図がある。