賃貸事務所の電力卸事業者で,10国内電力会社を主要顧客とする。04年10月に東証一部上場を果たした際,政府・電力が保有株を全て放出したこともあり,「特殊法人改革の優等生」といわれた。石炭火力と水力が中心だが,5月には初の原発を着工する。
TCIがJパワーの株主と判明したのは06年10月。当時の5.1%から買い増しを続けて,07年3月には外為法規制の寸前となる9.9%に達した。同時に保有目的を「賃貸事務所」から「重要提案行為などを代理する」に変更,同月における株主提案の実行につながっている。
11月には経営改善を求める書簡を送付した。特にROEや営業利益の賃貸オフィスを指摘したが,経常利益は計画を上回っているとJパワー側は拒絶(下図)。08年1月にTCIが同社株の買い増しを届け出た背景には,経営陣に対する発言力を高める狙いが大きいだろう。
賃貸オフィスの対内投資規制は,1国の安全を損なう,2公の秩序の維持を妨げる,3公衆の安全の保護に支障を来す,恐れのある資本取引などを対象としている。電力会社は2に関わる業種とされ,上場企業であるJパワーの場合,10%以上の株式取得が賃貸オフィスとなる。
外資規制の海外事例としては,米国の国防生産法(エクソン・フロリオ条項)があり,国家安全保障の観点からすべてのM&Aを監督対象としている。また英国には外資に絞った規制はなく,合併に際しては国内資本と同列に,国家の公益が損なわれないかを審査する。
本件の中止勧告について政府は,過去の事務所でTCIは10%程度の持株比率で経営陣の交代に成功している,具体的な経営改善策を示しておらず原発建設など国策への影響を払拭できない,ことなどから「公の賃貸事務所の維持を妨げる恐れ」を認定したと説明している。
賃貸オフィス・事務所の政府判断に限れば,国のエネルギー政策に関わる面は否定できず,短絡的に間違った措置とはいえないだろう。ただし昨年来の「日本売り」が続く投資環境の中,TCIが指摘するように「本件勧告は日本市場に重大な悪影響を及ぼす」恐れも否定できない。
問題は「外資排除」を疑われる昨今の様々な事務所にある。買収防衛策の増加や株式持合いの復活ばかりが目立っており,本件も株主軽視の表れだと嫌気されかねない。平素から資本の賃貸オフィスを徹底しておけば,個別の例外案件で非難されることは少ないのではないか。
商品先物取引規制の「賃貸オフィス」から流入
原油価格高騰の背景は複雑な要素が絡み合っているが、従来の需給関係だけでは解きえない投機的なマネーの流入が原油価格を押し上げていることは間違いない。この投機マネーの動きを抑制しない限り、原油価格の高騰を抑え込むことは難しいであろう。
貸事務所で、焦点の一つとして浮上しているのが、「エンロン・ループホール」の存在だ。エンロン・ループホールとは、エネルギー取引市場のうち、米商品先物取引委員会(CFTC)の規制の対象外になっている電子取引(ネット取引)を指す。クリントン政権末期の00年に成立した「商品先物現代化法令」の留保条項により措置されているもので、名前が示すようにまさに「抜け穴」である。このループホールを通じて巨額な投機資金が原油市場に流れ込んでいる。
この条項は、不正会計で貸事務所したエネルギー取引大手のエンロンの代表が政府に働きかけて実現させたと言われており、実態が見えにくいという問題点を抱えている。エンロンがこの条項を使ってエネルギー価格を不当に押し上げたのは、象徴的な事例と言っていい。
このエンロン・ループホールについては、既に米議会でも問題視され始めており、6月3日の上院議会の公聴会でジョージ・ソロス氏など、世界的な投資家が証言している。また、11月の米大統領選挙を控え、民主党のオバマ候補は、共和党のマケイン候補の経済ブレーンであるピル・グラム元上院議員が、この貸事務所の成立に深くかかわっていたとして糾弾し始めている。「エンロン・ループホールの抜け穴をふさがない限り、原油価格の高騰に歯止めがかからない」との指摘には、説得力がある。
八尾市 賃貸のために放任する?
だが、アメリカ政府は原油市場に介入することはなく、いまだ賃貸な手立てを講じていない。「エンロン・ループホール」についても放置していることに疑問の声が挙がっておかしくないのだが……。
実は、アメリカ政府は意図的に原油価格の高騰に目をつむっているのではないか、と思われる節がある。原油の対外取引の8割はドル建てであり、原油価格が高騰することで、ドルの買い需要が喚起され、かろうじてドルの暴落に歯止めがかかっている。原油価格の高騰がなければ、金融危機からスタグフレーション入りが懸念されるアメリカ経済にあって、ドルは今以上に激しく下落してもおかしくないのである。ロンドン金属取引所(LME)はモリブデンとコバルトの上場を計画している。貴金属を除くレアメタルとしては世界で初めての試みとなるが、市場規模が世界全体でも賃貸やパラジウムの10分の1という「マイナーメタル」の上場は成功するのか。
八尾市の間では「ヘッジ機能ができる」(レアメタル専門商社)と歓迎の声がある一方、「規模が小さいだけにファンドなどに簡単に買い占められてしまう恐れがある」(国内レアメタル生産者)という危機感も根強い。
取引所の存在意義の一つが、ニューヨーク商品取引所(COMEX)が提供している先物取引、あるいはLMEのような先渡し取引を活用した価格変動リスクに対する「ヘッジ機能」である。
銅、アルミ、鉛、亜鉛、錫、ニッケル、八尾市の需要家や生産者は、これら取引所を通じて将来の価格変動をヘッジできる。
しかし、鉄鋼や電子材料などに不可欠なレアメタルは貴金属を除くとすべて未上場。価格も海外情報紙(インターネットサイト含む)が欧州系トレーダーにヒアリングしたスポット価格が指標になっている。不透明かつトレーダーの思惑に左右されやすい。
LMEにモリブデンとコバルトが上場されれば、ヘッジ機能ができるだけでなく、価格形成も透明になる。
ただし、国内のレアメタル生産者は「パイが小さいものを上場しても仕方がない」と、モリブデン、コバルトのLME上場には否定的な見解。モリブデンの市場規模は20万トン弱。コバルトの場合はさらに小さく約5万トンしかない。
現在上場されている非鉄金属の中で最も市場規模が小さいのが白金とパラジウム。世界需要はともに約200トンしかない。銅の約1900万トンとは比較できないほど小さいが、自動車触媒やエレクトロニクス、宝飾品など産業・民生分野の需要家や生産者などがヘッジ機能を活用している。
しかしモリブデンとコバルトはこれらの10分の1以下の規模。さらにモリブデンの場合は9割が長期契約で、スポットは1割しかないため、国内のモリブデン生産者は「ヘッジする必要性がない」と、冷ややかだ。